歯科外科医 あるいは歯科概論

  <1728年版>

  ピエール・フォシャール[Pierre Fauchard] 著 髙山直秀訳

  銅版画図版42枚

  定価 12,960円 [本体価格12,000円]

 

  巻頭言:中原 泉(日本歯科大学学長)

 

 

 幻の名著 フォシャールが遺した唯一の書

 

1728年にフランスで出版された本書は、それまでは職業上の秘密とされていた歯科治療法

詳細に記述して公開し、それによって歯科の知識が飛躍的に普及した。

職業としての歯科医療が確立するに至った、まさに近代歯科医学の基礎となった書である。

詳しい手術手技や補綴物作製法、医療事故への予防法・対処法、術前の患者への説明、

患者の恐怖心を除去するための配慮、また症例報告は、症状の現病歴、受診時の所見、

治療計画、治療経過と結果を記し、一部の症例では報告した疾病および治療法に関する

考査を述べるなど、形式的にも内容的にも18世紀に書かれたものとは思えぬほど、科学的、

現代的な記述がなされている。

フォシャールの『歯科外科医』は、わが国で1984年に第2版から同訳者の翻訳によって500

限定で発行されたが、入手困難であった。

ようやく出された本書では、第2版との異同も訳注ですべて解説している。

 

≪第1巻の目次≫

 

第1章 歯の構造,位置,周囲との関係および歯の起源と発育

第2章 歯の有用性と歯を保存するためのわずかな注意

第3章 歯を保存するために守るべき食養生と生活態度

第4章 白い歯を保存し,歯肉を引き締める方法:このために有用な,

    あるいは有害な練り薬,粉薬および水薬

第5章 歯,歯槽,歯肉における固有の疾患,症候性あるいは偶発的疾患   

    の一般的原因,予後,診断および疾患の一覧

第6章 歯の知覚と歯にしみる感じ

第7章 歯の齲蝕の種類とその原因

第8章 歯の齲蝕について,齲歯を剥離器で削る前に観察が必要

第9章 歯の表面に形成される歯石と歯に及ぼす悪影響

10章 以下の章で述べる実践に関する全般的概念

11章 歯との関係からみた口腔各部位の位置,手術を受ける患者の

    位置と術者の位置,および患者と術者の種々の姿勢

12章 抜歯前,抜歯中,また抜歯後に注意すべき事項

13章 牙関緊急,つまり口が何らかの事故のために固く閉じ,手術

    しなければ患者に食物を摂らせることも,口腔内で起きていることを

    識別することもできなくなったときに口を開かせる方法

14章 歯肉の構造,広がり,周囲との関係およびその働き

15章 歯の萌出によって引き起こされる歯肉の病気,および歯の萌出を容易に

    するために適した手術

16章 歯肉のありふれた腫瘤,およびこの病気を治療するために適した手術

17章 エプーリス,すなわち歯肉の表面から突出した肉性の腫瘤,

    およびその治療に適した手術

18章 パルーリス,すなわち歯肉に,充血,炎症,時には欝血,漏出、滲出によって

    形成される膿瘍,およびこれを治療するための手術法

19章 歯肉に生じる潰瘍とその治療に適した手術

20章 歯の病気の際に歯肉に生じる瘻孔とその治療に適切な手術

21章 壊血病が歯,歯肉,さらに顎骨に及ぼす悪影響と壊血病による    

障害を治療するために適した手術

22章 歯の齲蝕の結果として,歯に最も近い部位に,次いで離れた

     部位に生ずるきわめて重大な障害

23章 歯に関する10例の観察

24章 生え代わった歯に関する6例の観察

25章 遅れて萌出する歯,あるいはまったく萌出しない歯に関する観察

26章 さまざまに癒合した歯に関する5例の観察

27章 変形歯や位置異常歯に関する12例の観察

28章 歯の真性脱臼とそれに起因する癒着について知ることができる観察

29章 元の歯槽に再植した歯,あるいは他人の口腔内に移植した歯に    

 関する5例の観察

30章 抜歯を試みて,右側上顎洞内あるいは歯槽内に深く押し込まれ     

た歯に関する2例の観察

31章 歯の表面,あるいは歯の周囲に形成された石様の腫瘤に関する3例の観察

32章 歯に起因する激しい頭部痛に関する4例の観察

33章 壊血病が口腔に引き起こす障害に関する2例の観察

34章 歯に起因する腫瘤,および膿瘍に関する12例の観察

35章 残根,あるいは破折歯などの摩擦によって生じた舌,頬,歯肉の胼胝様擦過傷に関する観察

36章 最後方臼歯の圧迫に起因する頬内側および歯肉の胼胝状の潰瘍

37章 6例の希有な観察

 

 

 

≪第巻の目次≫

 

第1章 鉄製あるいは鋼製の器具は歯に有害であると信じている人々の誤り

第2章 歯石つまり歯の酒石を除去するために適した器具

第3章 エナメル質を傷付けずに,歯石を剥がし,除去して口腔内を清掃するための秩序だった手術法

第4章 歯をヤスリで削るための手術法;諸注意と使用すべきヤスリの選択法も含めて

第5章 齲蝕になった歯を削るために便利な諸器具

第6章 歯に鉛充填するために役立つ諸器具;首尾よく実施するために必要な諸注意と

    諸条件

第7章 歯を焼灼する方法

第8章 彎曲歯,位置異常歯,および脱臼歯について;歯を矯正し,固定し直すために役立つ器具と手術法

第9章  動揺歯を固定し直すための手術法

10章 抜歯手術に役立つ器具,歯肉剥離器,押し棒,鉗子つまりヤットコ,梃子およびその使用法

11章 新しいペリカンの詳細な記述と従来使用されていたものの欠点

12章 ほかのどのような器具を用いても,簡単には抜歯できないような歯を抜去するために役立つペリカンの使用法

13章 欠損歯を補うために巧みに仕上げた人工歯

14章 ウシの足の骨を白くする方法;次のように処理した骨は人工歯あるいは人工歯列の一部を作るために役立つ

15章 天然歯の喪失によって生じた欠陥を修復するのに適切な人工歯,および人工装置を作るために役立つ諸器具

16章 天然歯に孔を穿ったり,天然歯あるいは天然歯の一部に人工装置をはめ込んり固定するために守るべきこと,人工装置を組み立てるために最適な各部の大きさ

17章 下顎歯列をはさむ金製ないし銀製の半円形の装置にバネで連結した上顎用総義

    の記述とその使用法

18章 上顎用装置がバネによって下顎用装置に連結されている上下顎総義歯の記述

19章 人工歯あるいは人工歯列の外見をより均一に,より美しくするために琺瑯を

    引く方法

20章 対をなす2枚の羽根と蝶番を備え,ナットで固定する口蓋栓塞子の記述と使用法

21章 羽根を蝶番なしで取り付けられる,部品が少ない口蓋栓塞子の記述と使用法

22章 柱身がなく,人工歯列を備えた口蓋栓塞子の記述と使用法;この装置の羽根は

     前記のものと形が異なり,互いに離開していて,特殊な構造の雄ネジで固定されてる。

     第4の小形の栓塞子についても述べる

23章 前章のものと同様に人工歯列を備えた骨製の栓塞板と多数の部品からなる口蓋栓塞子の記述と使用法,この栓塞子に柱身はなく,2枚の羽根は1枚が右へ,

    もう1枚が左へ回るように取り付けられている

24章 新しい外科学概論のある章に関する考察

 

 


<訳者略歴>

 

髙山 直秀(たかやま・なおひで)

 

1944年 東京都生まれ

1968年 千葉大学医学部卒業

1972年 干葉大学大学院医学研究科修了

      国立干葉病院小児科,東京大学医学部附属病院分院小児科を経て,

1977年 東京都立駒込病院小児科勤務。

1978年 同病院のワクチン外来担当

1983年 同病院小児科医長

2003年 同病院小児科部長

2009年 同病院定年退職,その後も非常勤医師として同病院のワクチン外来担当

2014年 同病院非常勤医師退職、日本歯科医史学会理事