海外に行く前に 狂犬病の知識を

モロッコで英国人の男性がネコに咬まれて狂犬病を発症し、死亡したというAFPの記事がありました。

英国では、コウモリ以外の動物による狂犬病の発生は1902年以来とのこと。

 

狂犬病はイヌだけでなく、すべての哺乳類で感染・発病します。

特に狂犬病ウイルスに感受性が高い動物は、キツネ、オオカミ、コヨーテ、ジャッカルなど。

イヌ、ネコ、スカンク、アライグマ、コウモリ、マングース、サルなどは、中等度の感受性があると

されており、ヒトも中等度の感受性があるようです。

 

狂犬病の動物に咬まれて感染した場合に、死に至らないための唯一の決め手は、発病して症状が出る

前にワクチン接種をすること。症状が出るまでの潜伏期は15日から1年以上と幅があります。狂犬病

多発地域に行く前にはあらかじめ「曝露前接種」を、万一、動物に咬まれた場合はただちに「曝露後

接種」が必須です。

 

日本では、1950年に狂犬予防法が制定され、飼い犬の登録と予防接種の義務化、狂犬病予防員・予防

技術員の犠牲者を伴った野良犬の捕獲で1957年に発生ゼロとなりました。

 

イヌの狂犬病は制圧できた欧米でも、野生動物の狂犬病は発生し(森林型流行)、今もヒトの犠牲者が

出ています。アジア、アフリカ、中南米では、現在も動物による口傷の狂犬病患者が多く発生してい

ます(都市型流行)。狂犬病は現在でも発病したら助からない怖い病気です。

  

参照:改訂新版『ヒトの狂犬病-忘れられた死の病』、復刻版『東京狂犬病流行誌』

<改訂改題新版>『知っておきたい感染症と予防接種―海外に行く前に』