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スペイン風邪と新型コロナウイルス

アメリカ合衆国での新型コロナウイルス感染症COVID-19は、最初の死者が出てから1年余りの2021223日で50万人を超え、これは第一次・第二次世界大戦とベトナム戦争での戦死者数を上回ったとのことです。感染者数は米国内で累計2819万人を超えたそうです。

 

  「1918年のインフルエンザ*の世界的流行は、……世界中では2500万人**を殺戮した。その時、終わったばかりの第一次世界大戦***8,538,313人の兵士たちを戦死させた。ということからインフルエンザ・ウイルスは4分の1の時3倍の人を死亡させたことになる。」

(リチャード・ゴードン『歴史は病気でつくられる』(品切れ)より)

 

*スペイン風邪。1918年から19年。

**死者数は4000万人、5000万人、1億人ともいわれている。

**第一次世界大戦。1914年から1918年。 

 

 「このインフルエンザはいったい何処からやって来たのだろうか? 1918年の春先に軽い流行の第1派がアメリカ陸軍駐屯地で始まり、フランスへの軍隊輸送と一緒に欧州へ到着した。次いで、隣のスペインへ飛び火して急激な流行に発

展したために、スペイン風邪という名をもらったのだった。」 (リチャード・ゴードン『世界病気博物誌』(品切れ)より)

 

 

第一次大戦中に、スペイン風邪のウイルスは軍隊の移動に伴って、世界中に拡散していきました。

今日では輸送手段のスピード化で、新型コロナウイルスが瞬く間に国境を越えて世界中に感染を広げてしまいました。感染症の爆発は戦争以上の死亡者を生み出す惨事となります。

  

新型コロナウイルスの全世界の感染者数は1億1千万人を超え、死亡者数は250万人を超えました。まだ、特効薬は承認されていないものの、対症療法として他のウイルス用の薬や抗炎症薬の投与、人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)など医療手段の進歩で、スペイン風邪と比較すれば死亡者の割合は大幅に少なくなっています。医学の進歩の恩恵ですが、その分、医療従事者の負担は大きくなっていると言えます。