先日、ネコの治療をした獣医さんが、マダニによるSFTSで死亡したというショッキングな記事がありました。
SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)は日本語名でも「重症熱性血小板減少症候群」という難しい名前です。
SFTSウイルスを保有するマダニに刺されて感染しますが、血液や体液からの感染もあり、この獣医さんはSFTSに感染・発病したネコの血液や体液から感染したと思われます。
SFTSは数年前までは西日本中心でしたが、近年は東日本でも発生しています。
初期症状は発熱、嘔吐、食欲低下など。頭痛、意識障害、痙攣、昏睡、咳等の症状が出て、病名の通り血小板が減少し出血(紫斑、下血)することもあります。白血球の減少や肝機能障害が起こります。致命率は10~30%と推定されています。
マダニが持つウイルスは地域によって多様で、媒介されるウイルスによって病名が異なります。
その前には、北海道でダニ媒介性脳炎の死亡例がありました。
同じくマダニの咬刺で感染します。
病原体はロシア春秋脳炎ウイルス、中部ヨーロッパ脳炎ウイルスで、ロシアから中西部ヨーロッパで流行しており、日本では北海道で感染例が見られます。
マダニはその他にも、リケッチア症、ライム病ももたらします。
いずれもワクチンはないので、マダニに刺されないよう予防が肝心です。
(ダニ媒介性脳炎ワクチンは海外では使用されているが、日本では未承認)。
アウトドアの活動が増えるこれからの季節には、マダニに刺される可能性も頭に入れて、肌の露出を減らし防虫剤を使用することと、マダニに刺されたら自分で取らずに直ちに受診するよう心がけてください。
参考:『知っておきたい 感染症と予防接種』