<医学哲学叢書>

                                          品切れ中

健康の本質

レナート・ノルデンフェルト[Lennart Nordenfelt] 著

石渡隆司、森下直貴 監訳

¥3,850

健康は一般の人々にとっても、いまや最大の関心事のひとつである。一方わが国では2003年に健康増進法が施行され、健康は国民の「義務」とされた。医療・看護・リハビリ・福祉の現場で、また健康増進の政策面でも、基準となる健康の定義が求められている。日常的であいまいな健康とは何かを、前ヨーロッパ医学哲学会会長のノルデンフェルトが多面的に考察し、新たな健康論を打ち建てようと試みた。あらゆる健康論議の基本となる意欲的な書である。


<目 次>

 

はじめに 

 

第一章  健康の哲学の根本問題    

            1 なぜ健康の哲学か 

    2 健康の理論が容認されるための要件 

    3 概念分析に関する予備的考察 

    4 健康と病気を見る二つの視点 

 

第二章  健康の要素論的理論――生物統計理論――

    1 古代ギリシア・ローマの健康観 

    2 目標という概念 

    3 生物統計理論の概観 

    4 生物統計理論のさしあたりの長所 

    5 生物統計理論に対する批判 

 

第三章  健康の全体論的理論へ向けて   

            1 行為論からのアプローチ 

    2 行為と能力の一般概念 

    3 能力と能力欠如 

    4 一次能力と二次能力 

    5 最重要目標という概念 

    6 人間の基本的ニーズを充足する能力としての健康 

    7 自ら設定した目標を達成する能力としての健康 

    8 新たな健康の哲学へ向けて

        ――ウェルフェアとしての健康観―― 

            9 ウェルフェア理論のいくつかの特徴 

 

第四章  健康を損なう要因   

           1 傷病

       2 健康を損なう他の要因――老齢と妊娠と悲嘆――

 

第五章  健康のウェルフェア理論と社会および医学    

           1 健康と社会の関係 

       2 健康のウェルフェア理論と医学および医療保健


<監訳者略歴>

 

石渡隆司(いしわた・りゅうじ)

1932年 神奈川県生まれ

1956年 東北大学文学部哲学科卒業

1964年 同大学院博士課程修了(哲学)

1964-69年 日本大学工学部講師、助教授

1969年 岩手医科大学助教授

1971年 同教授

2000年 定年退職、同名誉教授

1986-95年 日本医学哲学・倫理学会会長

1995年よりポーランド医学アカデミー名誉会員

 

森下直貴(もりした・なおき)

1953年生まれ

1976年 東京大学文学部倫理学科卒業

1983年 同大学院博士課程単位取得退学

1987年 浜松医科大学医学部助教授

2002年 同教授

日本医学哲学・倫理学会理事